膝の症状に対する腰へのアプローチの選択基準はあるのかのお話(論文系記事)

とある日のセラピストと患者さんの電話での会話。
その患者さんは、明後日の予約だったのですが、
明日だと勘違いしてキャンセルの電話をかけていらっしゃいました。
セ ”予約あさってですよ?”
患 ”なに?”
セ ”明日じゃなくてあさってですよ?”
患 ”なになに?”
セ ”明日じゃないですよーー!”
患 “聞こえなーい”
セ ”あさってですよーー!!”
患 ”この電話聞こえにくいでしょ?”
セ ”いや、こっちは聞こえてますよ”
患 ”あ、ホントに?ピッ”
…最後、聞こえてたのになぜ切った?
今回は、論文系記事となりますので、
興味ある方は見ていただけると幸いでございます!
膝の症状に対する腰へのアプローチの指針は何か
前回の論文系記事では、
膝の症状に対しての股関節アプローチの選択基準について書きましたが、
今回は、
股関節ではなく腰です!!
どのような所見が見られた場合、
腰へのアプローチで膝関節の症状を軽減させられるのか
という論文を読んだのでご紹介させていただきます!
論文タイトル
Lumbopelvic Manipulation for the Treatment of Patients With Patellofemoral Pain Syndrome Development of a Clinical Prediction Rule
この研究は、
膝の前面痛がある人に対して腰椎マニピュレーション(パキって音鳴らすやつ)をやってみて、
症状が軽減した人はどんな共通点があるのかというのを分析してまーす。
ちなみに、介入の腰椎マニピュレーションはこんな感じ
パキって鳴らした後に、
段差昇降とスクワットで症状(主に痛み)が改善した人を抽出!!
けっこう顕著に結果に差が出てます。
改善した人たちは、
80%くらい症状が良くなってるんです!
そんな人達の共通点なんなのかって、
ものすごく気になりません?
最終的に共通点を5項目に絞っています。
ドラムロール、カモン!
どぅるるるるるるる、だんっ!!
- 左右の股関節内旋ROMの差が14°以上
- 足関節背屈ROMが16°以上(膝関節屈曲位)
- 荷重した時の舟状骨の落ち具合が3mm以上
- 20分以上座ってても膝が固まってこない
- スクワットするのが一番痛い
この中で一番重要なのが、
左右の股関節内旋ROMの差が14°以上(陽性尤度比 4.9)
また、
5項目中3項目当てはまると
陽性尤度比(+LR)が18.4
つまり、5項目中3項目当てはまってたら、
膝の前面痛がある人に対して腰椎マニピュレーションが効果を発揮する可能性が
せぃこう(最高)に高ぇぞっ!(前回に引き続き、悟空風にお読みください)
アイデンティティ田島、おもしろすぎる…
じゃなくて、
この論文もまた興味深いですね~!!
これは、完全に僕の解釈になってしまいますが、
マニピュレーションじゃなくて腰へのモビライゼーション(硬いところを動かすような手技)でも良いんじゃないかって、
めちゃくちゃ勝手に思ってます。笑
マジで勝手に思ってるだけなので、
ここからの話はあまりカッチリ捉えないでください。
臨床の中でも、腰へのアプローチをしただけで、
股関節の伸筋群や外旋筋群の出力が上がる患者さんを経験することがあります。
それによって下肢のモーターコントロールが改善して、膝に良い影響が出る可能性もあるなと。
この論文では、
腰へのアプローチによってどういう経緯で膝が良くなるかまではまったくわかりません。
でも、共通点で一番大切なのは股関節内旋ROMでした。
だから、
腰の障害⇒股関節の障害⇒膝関節の障害
っていう流れじゃないかなと思ったり。
前回の論文でもそうでしたが、
股関節内旋っていうのはキーポイントなんですね。
そして、毎度のことですが、
取り込み基準と除外基準も重要ですよ~!
今回は、
取り込み基準⇒18~50歳の膝前面に痛みある人
除外基準⇒神経根症状がある人、膝関節や膝蓋腱に圧痛がある人、膝の靭帯や半月板に問題がある人、骨粗鬆症、膝や腰の手術前の人など
です!
けっこう若めな設定なんですよね、実は…。
介入がマニピュレーションだからだと思いますが。
論文はありのままを受け入れましょう!
婉曲して捉えないように!
ただし、
その論文をどう臨床に生かすかは自由です。
結局は、患者さんのためになればいいわけで。
論文からたくさんヒントを得ましょう!
僕もできる限り、面白そうな論文を紹介していきますので~!
ということで、今回は以上になります!
次回の論文系記事は、
膝の症状に対する神経へのアプローチの論文を紹介しようかなと思ってます。
それでは、また~
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