膝の症状に対する股関節アプローチの選択基準はあるのかのお話(論文系記事)

先日、病院の職員の人が患者さん(ご婦人)にレントゲンを撮るよう促すため、
”念のため、写真撮りますね~”と言ったら、こう返してました。
”え、顔写真ですか!?”
…指名手配犯じゃないんだから。笑
今回は論文系記事となりますので、
興味ある方はお読みいただけると幸いです!
膝OAに対する股関節アプローチの指針は何か
膝関節は足関節と股関節に挟まれた中間関節であり、
硬くなった足・股関節の犠牲者となりやすい関節だと思います。
いわば、
部下と経営者からの板挟みとなっている中間管理職
のようなものなのです…。
いつも頑張ってくれてありがとうね、お父さん…。(ウソです、僕の父親は自営業です。)
すなわち、
経営者(股関節)はより柔軟な発想を持ち、
それに呼応して現場の部下(足関節)が地に足をつけた安定した心持ちで働いてくれれば、
中間管理職(膝関節)のお父さん達もストレスフリーとなるわけです。(やばい、これはマジで決まった)
そこで、今回は、
どのような所見が見られた場合、
股関節へのアプローチで膝関節の症状を軽減させられるのか
という論文を読んだのでご紹介させていただきます!
論文タイトル
Development of a Clinical Prediction Rule to Identify Patients With Knee Pain and Clinical Evidence of Knee Osteoarthritis Who Demonstrate a Favorable Short-Term Response to Hip Mobilization
研究の方法としては、ざっくり言うと、
膝OAの人に対して股関節モビライゼーションをやってみて、
症状が軽減した人はどんな共通点があるのかというのを分析しておりまーす。
まず、どんな介入だったかというとコチラ
1枚目⇒屈曲位での尾側へのモビライゼーション
2枚目⇒下肢をクロスして長軸方向へのモビライゼーション
3枚目⇒伸展位での腹側へのモビライゼーション
4枚目⇒下肢を開排させるようにして腹側へのモビライゼーション
これを、GradeⅣ(短い振幅で繰り返して硬さをストレッチする)で、30秒間3セット実施。
で、2日後に再評価するんですが、それまでに1日2回痛みのない範囲で股関節屈曲を30秒間2セットやっておいてもらいます。
そうすると、
WOMAC(OAのQOL評価)が31%、
スクワットや立ち上がりの痛みが45%改善!!
当然、改善した人も改善しなかった人もいるんですが、
問診や身体評価の73項目の中から、
より高い共通性のものを11項目に絞り込み、
さらに5項目へと最終決定します。
それが、コチラ。
- 股関節牽引で痛い
- 膝関節屈曲ROM(他動)が122°未満
- 股関節内旋ROM(他動)が17°未満
- 大転子から鼠径部にかけての部分に感覚異常がある
- 大腿前面に痛みあり
そして、これらのどれか一つでも当てはまれば、
陽性尤度比(+LR)が5.1
2つ当てはまったら、
陽性尤度比(+LR)が12.9
つまり、5個中2個当てはまってたら、
膝の症状に対して股関節モビライゼーションが効果を発揮する可能性が
せぃこう(最高)に高ぇぞっ!(悟空風にお読みください)
いやー、おもしろいっすねー!(野沢語も含め)
膝関節屈曲122°未満とか、股関節内旋17°未満とか、大腿前面に痛みがある人とかって臨床でけっこういるような気がしません!?
しかも、股関節牽引はそうでもないんですが、
ROM測定とかは単純だから当然信頼性が高い評価なので、
臨床でも適応できそうですよね~
ただし、この前の記事にも書きましたが、取り込み基準と除外基準も重要です!
今回は、
取り込み基準⇒50~80歳、初めに膝が痛くなった人、膝OAの人
除外基準⇒最初に腰痛を訴えた人、腰痛後膝下に放散痛がある人、骨粗鬆症、膝や股関節が人工関節の人など
ということなので、
やっぱり基本的には腰からの影響がない人に対するものとして解釈するべきだと思います!
語弊がないようにお伝えしますが、
腰痛がある人に対して今回の研究内容を適応しても、
効果が出るかは未知数ということです。
ということで、今回は以上になります!
次の論文系ブログは、
膝の症状に対する腰へのアプローチや
膝の症状に対する神経へのアプローチの論文を紹介しようかなと
おぼろげに思っております!
…おぼろげにって使い方合ってるか?
そこはかとなく思っております!
それではこのへんで~
この記事へのコメントはありません。