壮年よ、教科書を疑え!!のお話

理学療法士教育の中で思いつく整形外科的テストは何かと問われたとき、
何を思い浮かべるだろうか。
胸郭出口症候群に対するAdson test?
椎間板ヘルニアに対するSLR test?
膝関節内側側副靭帯に対する外反ストレステスト?
Adson testは、健常者でも50%陽性になったなどの報告もあり、
胸郭出口症候群(特にNTOS)に対する検出力は疑わしい。
SLR testは、『陽性=椎間板ヘルニア』とは言えず、
むしろ、『陰性=椎間板ヘルニアじゃない』という方程式の方が正確だということが研究から報告されている。(cross SLR testの方がヘルニアと断定する力がある)
膝関節の外反テストは、もちろん内側側副靭帯にもストレスがかかるが、
十字靭帯や他の組織にもストレスがかかっているため、一概に内側側副靭帯とはいえない。
当然、絶対にこの症状を確定するというような最強のテストは存在しないわけで、
”否定ばっかすんなよ”と言われてしまうかもしれない。
しかし、これは決して否定ではなく、
このような知見を知っていれば、思い込みの仮説に引っ張られずに,
路頭に迷う可能性が低くなるかもよという提案と捉えてほしい。
冒頭の質問にまた戻るが、何人かの人はこの質問対して、
Ober’s test
と思い浮かべた人も多いのではないかと思う。
Ober’s testは、腸脛靭帯のタイトネスを調べる検査として開発されたもの。
最近の教科書では、大腿筋膜張筋(腸脛靭帯)の緊張を評価する検査と書かれている。
CがオリジナルのOber’s testで、A,Bが 修正された Ober’s test
職場の後輩にOber’s testって何のテスト?と聞いてみると、
やはり”腸脛靭帯の硬さを調べるテストじゃないですか”と答えていた。
…そりゃ、そうだよね。
だって教科書に書いてあるんだもん。
僕も当たり前のように、Ober’s test=腸脛靭帯(大腿筋膜張筋)のテストと考えてたし、
そう思いこんで臨床で使ってもいた。ある意味、教科書の魔力。
こう書くってことは、そうじゃないかもよっていう知見があるってことなんです。
実際に切って確認しちゃおっ!
2016年に、
An Anatomic Investigation of the Ober test
という論文が発表された。
ざっくり内容を説明すると、
ご遺体の腸脛靭帯・股関節の関節包・中殿筋/小殿筋の、
切る前と後のOber’s testを比較してみてどうなるかを調べた研究。
結果はというと、
ドゥルルルルルルルルルルル、ダン!(ドラムロール)
腸脛靭帯だけ!!
切る前と後のOber’s testで変化なかったの!!
って、うぉいっ!!笑
股関節の関節包・中殿筋/小殿筋を切ると、10度弱ぐらい変化があるのに、
腸脛靭帯は1度という驚愕の結果。
なんでやねん。(そりゃ、群馬出身の僕からも関西弁出ちゃうよ)
でも、どうせなら、大腿筋膜張筋を切ってどうなるかも見てほしかったなぁとも思ったり。
とにかく、この論文の結果からは、
Ober’s testは腸脛靭帯のテストとは言い難いということだ。
やはり、一つの検査だけでは、結論は出せない。
ただし、多すぎる情報も、目的とする問題をぼやかしてしまう。
医療って、難しい上に、信じてきたものを覆してもくるなんて…。
こういう時は、いつものごとく叫ぶのが一番である。
負けねぇぞ、こんちくしょう!!
長々と書いたが、言いたかったことは、
常に疑いを持て!
自分の頭で考えて、納得できるまでやるぞ!
である。(前回の記事のテンプレ)
テンプレで終わるわけにはいかないので、
今回は、僕の神様であるマイケルジョーダン氏の言葉で締めたいと思います。
”I’ve missed over 9,000 shots in my career. I’ve lost almost 300 games. 26 times I’ve been trusted to take the game-winning shot and missed. I’ve failed over and over and over again in my life. And that is why I succeed.”
”私は9,000回以上シュートを外し、300試合に敗れた。
決勝シュートを任されて26回も外した。人生で何度も何度も失敗してきた。
だから私は成功したんだ。”
失敗は成功の過程!!
よし、頑張ろう!!
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